100 虚ろう事なき神操の無浄

窓から見える景色は

美しく

自由で

憧れである。




窓の外の世界は

汚らわしく

窮屈で

絶望である。




窓から見えるものは同じだが

窓の外と中では同じでは無い。



夢見る微睡みの世界

リアルな狂った世界


窓の外の景色に憧れ

窓の外の世界に出たあの日

現実で生きる人達と出会った

彼らは外の世界でも、
窓の外の景色を見ていた。



各々の、心の窓の、外の景色を。


それらは、


美しく

自由な

憧れだった。



例え


汚らわしく

窮屈な

絶望を経験してでも

目指す価値のある

景色だった。





他人の見た景色を目指す者もいた。
彼女は歌が好きで。

自分の憧れた景色に疑問を抱く者もいた。
彼女は友が好きで。

自分の見た景色を取り戻すために動く者もいた。
彼は友と、…幼馴染が好きで。


「 」のために景色を導くものもいた。
「 」は、家族が好きで。



私は、そういう人たちの描く景色を見るのが
好きになっていった。



ただ、
憧れも絶望も、神の力の前では無に等しい。




であれば、その「無」で戦う他ない。


私の憧れた景色のため


共に歩め


  アルファ・ヴァイト
『移ろう事なき深窓の無浄』




筆:天羽ひばり